本ガイドは、数学と情報処理の二つの分野の点訳に関する基本的な事項を解説するものです。
Ⅰ部・Ⅱ部ともに、多くの点訳例を掲載しました。これは、言葉足らずで十分に行き届かない解説を補うことが目的です。分類と整理が必ずしも的確ではありませんが、実際の点訳を進める際に、必要に応じてご参照ください。解説と点訳例を対比しながらお読みいただくには、奇数ページが右、偶数ページが左になるような両面印刷をして下さい。また色を用いた説明も有りますので、カラー印刷をお願い致します。
Ⅰ部には、中学・高校の数学で学ぶ各種の式の点訳方法と、大学の基礎教育段階で使われる数学的表記を点訳する際の手掛かりを示しました。その内容は、日本点字委員会の『点字数学記号解説暫定改訂版』に概ね沿っていますが、規則の解釈や用語の一部が異なり、独自の提案もあります。また、数式の形式の説明に、図形的な表現と再帰的な定義を用いています。
Ⅱ部には、プログラムコードやメールアドレスなどを点訳する方法を示しました。ここでは、日本点字委員会が定める『コンピューター用言語の6点式点字表記』(いわゆる情報処理用点字)が基本となっています。
【参考】では2進数や16進数などを題材にして、数学用点字と情報処理用点字の使い分けについても言及しています。
本ガイドが、数学や情報処理分野の点訳の普及と、提供される点字書の質的向上の一助となることを願う次第です。